札幌と函館は北海道を代表する都市であり、冬のあいだも車で往来する人が多くいます。
しかし雪が本格化する季節は、路面状況や視界、風により難易度が大きく変わります。
この記事では、雪の時期に安全かつ無理のない計画で移動するための要点を整理します。
所要時間の目安、ルートの違い、装備、運転テクニック、休憩計画まで具体的に解説します。
初めての人はもちろん、慣れている人でも見落としがちな冬道の盲点を網羅します。
雪の季節に札幌から函館を車で安全に移動するための基本

冬の北海道での長距離移動は、準備と情報収集、そして余裕を持った運転がすべての土台になります。
本章では「札幌から函館を車で」走る際の全体像をつかみ、雪に備えた考え方を固めます。
距離や時間の目安、主なルートの特徴、装備と点検、走り方、出発時間の決め方などを整理します。
先に結論を言えば、所要は天候しだいで大きくぶれます。
だからこそ、最短ではなく「確実に着く」道とペースを選ぶのが安全への近道です。
所要時間の幅を前提にした計画が安全
札幌から函館までの走行距離はおおよそ300km前後となり、ルートや天候で実走時間は大きく変動します。
乾いた路面で交通が流れているときは4〜5時間程度を目安にできますが、雪や風、視界不良が重なると6〜8時間に延びても不思議ではありません。
冬は「到着時刻を決めて逆算」ではなく、「無理なら途中で泊まる」余地を確保するのが肝心です。
給油と休憩は2時間おきなど区切りを先に決め、眠気と冷えをためない運行にします。
最終到着の予定は日没前に設定し、暗くなるほど危険度が上がる前提で余裕を持たせましょう。
積雪直後は除雪待ちで時間が読みにくいため、普段よりさらに早めの出発が無難です。
主なルートの特徴を比較して選ぶ
代表的なルートの違いを事前に把握すると、当日の天候に応じた選択がしやすくなります。
海沿いは吹きつける風と地吹雪、内陸は峠の積雪とカーブが課題となり、どちらも一長一短です。
高速道路主体の道は追越車線の圧雪やわだちが残りやすく、速度の出し過ぎに注意が必要です。
一般道主体は信号や低速区間が増える反面、突然の通行止めに遭っても細かく回避しやすい利点があります。
以下の表は代表的な選択肢の性格をまとめたものです。
| ルート | 傾向 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 道央道+函館新道中心 | 速度が安定 | 信号が少ない | 風雪で視界喪失や通行止めの可能性 |
| 国道5号中心(海沿い) | 経由地が多い | 回避路が取りやすい | 地吹雪、凍結、夜間の歩行者・交差点 |
| 内陸寄り併用 | 峠区間あり | 風の影響を受けにくい場面も | 圧雪わだちと連続カーブ |
表はあくまで傾向であり、当日の天候と自分の経験値に応じて柔軟に組み合わせるのが現実的です。
冬装備と車両点検でトラブルを未然に防ぐ
雪道のリスクの多くは、装備と点検で事前にかなり下げられます。
タイヤ、視界、停車時の防寒、万一のスタック対策など、優先順位をつけて準備しましょう。
特にワイパーとウォッシャーは長距離ほど消耗が早く、凍結で視界が急に奪われる原因になります。
またバッテリーとエンジン冷却系は寒冷地で負荷が高まりやすいため、出発前チェックが重要です。
持ち物は重量よりも「即取り出せる配置」を意識して、助手席下やドアポケットも活用します。
- スタッドレスタイヤの溝・製造年・空気圧の確認
- 解氷ウィンドウウォッシャー液と冬用ワイパー
- ブースターケーブルと牽引ロープ、スコップ
- スノーブラシ、解氷スプレー、手袋と防寒具
- 携帯カイロ、毛布、飲料と軽食、スマホ充電器
- 三角表示板、携帯トイレ、ヘッドランプ
チェーンは四駆でも携行し、装着練習を一度しておくと本番で慌てません。
滑らない走り方で安定感を高める
雪道は「急」のつく操作を徹底的に避け、荷重移動をゆっくり行うことが基本です。
発進は2速発進や軽いアクセルでタイヤを空転させないようにし、直進中の不要な舵角を減らします。
カーブ前で十分に減速し、曲がりながらのブレーキは最小限に抑えます。
下り坂はエンジンブレーキを活用し、停止距離が伸びる前提で早め早めの操作を心掛けます。
わだちの段差を跨ぐ際は、ステアリングを少し戻し気味にして車体の姿勢を安定させます。
ABSの作動は路面状況のサインでもあるため、効いたら速度と車間をさらに広げましょう。
出発時間と休憩計画で無理を減らす
冬は昼が短く、夕方以降は放射冷却で凍結が進みます。
できるだけ明るい時間帯に長距離区間をこなし、日没後は速度を落として細かく休憩を挟みます。
2時間ごとに給油・休憩・除雪をセットで実施すると、疲労と視界不良の蓄積を抑えられます。
混雑や事故の発生リスクを避けるため、連休初日の朝はさらに早発が有効です。
吹雪予報の日は「行けるところまで」ではなく、最初から短い行程に切り分ける計画が安全です。
休憩地はガソリンスタンドと道の駅を軸にし、温かい飲み物で体温を保ちましょう。
天候と道路の情報を読み取り対応する考え方

冬の移動では、天候と道路の最新情報を組み合わせて判断する力が安全度を左右します。
単に降雪量だけでなく、風向や気温、時間帯、地形の影響を加味して危険度を見極めます。
ここでは予報のどこを見るか、風と地形の関係、通行止めや規制が出た際の判断軸を示します。
情報は点ではなく線で捉え、区間ごとの変化を想像して運転計画を更新しましょう。
雪予報の見方を押さえる
降水強度の色分けだけでなく、気温の推移と等圧線の間隔に注目するとリスクの予測精度が上がります。
朝は路面が固く締まり、日中に湿雪となり、夕方に再凍結する一日のサイクルを想定します。
気温が0℃前後を上下する日はシャーベットやブラックアイスが増え、滑り出しが唐突になります。
山沿いの雪雲が発達する条件では、峠区間の視界と積雪が短時間で急変します。
実況(レーダー)と予報(時間ごと)を見比べ、悪化が早い地域を先に抜ける順番に調整しましょう。
降雪そのものよりも、風と組み合わさった地吹雪の可能性を常に意識することが大切です。
風と地形の影響を理解する
海沿いの直線路は横風が強まりやすく、車線維持が難しくなる場面が増えます。
橋や高架は路面温度が下がりやすく、同じ地域でも急に凍結の度合いが変わります。
吹きさらしの畑地帯は地吹雪で視界が一気に白くなり、前車のテールランプだけが頼りになることもあります。
森林帯に入ると一時的に風が弱まり安心感が出ますが、日陰でアイスバーンが残りやすい点に注意が必要です。
トンネル出入口は路面状況が切り替わる場所で、ステアリングやアクセルの急な操作は禁物です。
横風が強い日は車間をさらに広げ、追い越しは控える判断が安全につながります。
通行止めや規制時の判断軸を持つ
冬は突然の通行止めや速度規制が発生しますが、焦って裏道へ飛び込むよりも、確度の高い迂回と待機を選ぶほうが安全です。
燃料残量とトイレ事情、食料、体温維持の手段を基準に「どこでどれだけ待てるか」を先に決めます。
高速の通行止め時は、並行する一般道へ移った直後の交差点や合流が混み合うため、心に余裕を持って順番を待ちます。
峠の降雪強化やホワイトアウトが見込まれる場合は、日の出以降に延期する選択も合理的です。
チェーン規制が出たら、四駆やスタッドレスだけでは不十分な局面と理解して装着を検討します。
- 燃料は常に半分以上を維持する
- 待機は風雪を背にできる施設で行う
- 渋滞時は早めにトイレ休憩を確保する
- 最新情報を区間ごとに確認して更新する
- 無理に抜けず、次善の宿泊を検討する
判断の基準を事前に決めておくと、現場で迷いが少なくなります。
区間ごとの要注意ポイント

同じ雪でも、区間によって現れ方が違います。
ここでは代表的なエリアの特徴を挙げ、具体的な運転上の注意点を整理します。
あくまで一般的な傾向ですが、心構えとして把握しておくと当日の対応が変わります。
暗くなる前に難所を抜ける計画にして、余裕のあるペース配分を徹底しましょう。
海沿い区間の視界と横風に備える
小樽〜余市〜岩内方面にかけての海沿いは、風の通り道になりやすく、横風と巻き上がる雪で視界が乱れます。
対向のトラックが通過した直後は、風圧で舞い上がった雪が自車の前に落ちてきて視界が一瞬途切れます。
車線変更や追い越しは最小限に抑え、見通しの良い直線でも速度を控えめに保つのが安全です。
交差点の停止線手前は磨かれたアイスバーンになりやすく、早めの停止とクリープで微調整しましょう。
海霧が出る日はフロントガラスが湿り、すぐ凍りつくため、デフロスターと撥水の準備が効きます。
歩行者や自転車が路肩に現れることもあるため、夜間は特に照明の少ない区間で速度を落とします。
峠区間はわだちと圧雪の変化が鍵
長万部〜八雲周辺の峠区間は、短い距離でも路面状況が刻々と変わります。
上りではトラクションを確保するため一定のアクセルを保ち、止まり切らないことが安定につながります。
下りはエンジンブレーキ主体に切り替え、ブレーキは直進状態で早めに当てます。
わだちが深いとハンドルを取られやすいため、跨ぐ際は斜めに入らず正対でゆっくり越えます。
カーブの出口側は特に氷膜が残りやすく、ステアリングを切り足すほど滑りやすくなる点に注意してください。
トンネル内は乾いていても、出口直後が急激に凍っている「トラップ」に警戒しましょう。
大沼・七飯周辺は積雪と視界のメリハリに注意
大沼公園や七飯町周辺は、森林帯と開けた地形が交互に現れ、積雪の量と風の影響が短い間隔で変わります。
開けた直線では地吹雪でミラーが見えづらくなり、すぐ先の森林帯では逆に視界が落ち着くなど、リズムの変化が大きいのが特徴です。
減速は早めに、カーブの入口で姿勢を整え、出口で急に踏み増さないことが安定に直結します。
また観光拠点が点在するため、右左折車や歩行者の不意な動きに備えて車間を広めに取ります。
雪壁が高い日は交差点の側方視界が狭くなるため、停止線より前に出ない慎重さが必要です。
この区間を日没前に通過できるよう、全体計画を逆算しておくと安心です。
費用と時間の目安を把握して無理をなくす

冬道は時間が読みにくいため、費用と休憩の目安を先に決めておくと判断がぶれません。
燃料は多め、高速は天候に応じて柔軟に使い分け、休憩は温かい飲食ができる拠点に寄せます。
ここではおおまかなコスト感とおすすめ休憩地、代替手段の考え方をまとめます。
燃料と高速の大まかなイメージ
燃費は気温低下と雪道走行で悪化しやすく、夏より1〜3割ほど余計にかかる前提で計画します。
渋滞や待機に備え、出発時に満タン、途中で早めの追い給油を基本にすると安心です。
高速主体は時間短縮の期待がある一方、悪天候時は速度規制や通行止めで効果が薄れることもあります。
一般道主体は時間はかかりますが、給油や休憩の選択肢が増えるため、荒天時はかえって安定する場合があります。
下の表は費用感と所要の「傾向」を示した参考値で、当日の条件により大きく変化する点に留意してください。
| 項目 | 高速主体 | 一般道主体 |
|---|---|---|
| 燃料消費の傾向 | やや多い | 少なめ〜普通 |
| 所要時間の傾向 | 短いが荒天でぶれやすい | 長いが読める場面も |
| 疲労の傾向 | 単調で眠気に注意 | 信号と交差点が多い |
費用は安全のための投資と捉え、悪天候時はためらわずに休憩と宿泊へ振り向けましょう。
立ち寄り休憩の考え方
冬の長距離では、暖かい場所での確実な休憩が安全に直結します。
2時間ごとを目安に、給油・トイレ・食事・車体の除雪をセットで行える拠点を選びましょう。
車内に湿気と雪を持ち込むと曇りやすいため、マットや新聞紙で足元の水分を受けると快適です。
温かい飲み物と塩分のある軽食は、寒さと集中力低下の両方を抑える助けになります。
駐車時は風上にフロントを向けないと着雪が増えやすく、次の出発が大変になります。
- 給油とトイレは早めに済ませる
- 着雪の除去は休憩のたびに行う
- 換気とデフロスターで曇りを防ぐ
- ストレッチで血行を保ち眠気を防ぐ
- 日没前に大きな区間を通過する
短い停車でも体温が下がるため、上着と手袋をすぐ出せる位置に置きましょう。
代替手段も現実的に検討する
吹雪予報や体調不安がある日は、無理に運転せず公共交通や宿泊を選ぶのが賢明です。
鉄道やバスは天候の影響を受けることもありますが、運転より安全が高い局面が少なくありません。
どうしても車が必要な旅程でも、片道だけ公共交通に切り替えるなど柔軟に発想すると選択肢が広がります。
宿泊は雪のピークをやり過ごすための有効な手段で、翌朝の路面が改善することも多いです。
予定を守るより安全を守るほうが結果的に旅全体の満足度が上がります。
「行けるかどうか」ではなく「安全に行ける条件か」を基準に判断しましょう。
雪道ドライブを成功させる要点の整理

札幌から函館を車で移動する冬の旅は、余裕ある計画、安全装備、静かな操作、そして情報更新の習慣が支えになります。
所要時間は天候で大きく変わるため、最短ではなく「確実」を重視し、峠や海沿いの特性を踏まえてルートを組み替えましょう。
満タン出発と早めの追い給油、2時間ごとの休憩と除雪、日の出と日没を意識した時間設計が実効的です。
風と気温、地形の組み合わせを読み、通行止めや規制時は停滞と宿泊をためらわない判断軸を持ってください。
準備を丁寧に、運転はゆっくり、判断は柔軟に。
その積み重ねが、雪の北海道を安全に走るいちばんの近道です。


